耳より情報
2022年06月15日 [耳より情報]
「弁護士が伝えたい!『争族』対策の大切さ」
オーケストライフでは、皆さまのお役に立てるくらしや住まいの耳より情報を定期的に発信していきます。今回は、12人の弁護士を中心に専門知識を活かしたサポートを。弁護士法人LM総合法律事務所の代表パートナー弁護士竹中 一真による「弁護士が伝えたい!『争族』対策の大切さ」をテーマにお話しします。
ここ数年で増えたご相談の一つが、「『争族』対策のために備えておくことや、アドバイスはありますか?」という内容です。
『争族』とは字のごとく、遺産相続をめぐって親族が争うこと。これは、財産の<多い><少ない>に関係ありません。相続される財産は、貯金や不動産などプラスのものだけでなく、負債というマイナスの財産も含まれるからです。
相続が発生すると、残された相続人は遺産を分けるため、「遺産分割協議」をおこなう必要があります。しかし、その話し合いの際に揉めてしまい、裁判所による調停や審判、訴訟に発展してしまうケースがあります。
それを防ぐためにも、相続に関する意思を示す遺言書の存在は、とても大事です。遺言書があれば、「遺産分割協議」を経ることなく、遺言のとおりに遺産が分けられるので、争いを無くす効果があります。ではまず、遺言書の種類について確認しておきましょう。
◆自筆証書遺言
被相続人が手書きで作成した遺言書。決まった形式が定められており、これを満たさない場合、無効となる。証人は不要、署名・押印は本人のものでよい。遺言書の存在が知らされていない場合、家族に見つけてもらえない場合もある。また、後日、「本当に被相続人が書いたものなのか?」などで争われることもある。
◆公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう公正証書としての遺言書。遺言者が遺言書を書いたことを証明する証人が2人以上必要となる。また、本人と証人、公証人の署名・押印も必要。
原本は公証役場に保管し、正本は本人が保管する。公正証書遺言を作成する場合、財産の額に応じて費用が発生する。
このように遺言書には2種類ありますが、先ほども触れたように遺言書の形式や「本当に本人が書いた遺言書なのか?」などを巡って争われる可能性があるため、公証人の前で作成する公正証書遺言をお勧めします。
相続人には、遺言によっても奪うことができない「遺留分」があります。
遺留分とは、民法で保障されている一定割合の相続分のこと。一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった方)の財産から、法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことです。(被相続人の生前の贈与、もしくは遺贈によっても奪われることのないものです)
◆遺留分の割合について
相続人が直系尊属(父母または祖父母)のみの場合は3分の1、その他の場合は2分の1です。各相続人の遺留分は、民法で定められた相続分に遺留分の割合(2分の1又は3分の1)を乗じることにより求められます。
◆「遺留分侵害額の請求」とは?
もし、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合でも、贈与又は遺贈を受けた者に対し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
このように、せっかく遺言書を作成したものの、「遺留分を侵害された」ということで、結果的に争いに発展するケースも多くあります。では、具体的な事例で確認してみましょう。
Gさん(80代・男性)
Aさん(50代・男性/Gさんの長男)
Bさん(50代・男性/Gさんの次男)
2年前、妻に先立たれて体調を崩して入院したGさんは、それを機に長男であるAさん夫婦と同居することになりました。献身的に身の回りの世話をしてくれるAさん夫婦。それとは対照的に、Bさん夫婦は近くに住んでいるにも関わらず、全く顔を出すことはありません。それどころか、Bさんから連絡が来るときは、Gさんに金銭を要求するときのみ。そんな状態が2年近く続いたことで、GさんはBさんと縁を切りたいとさえ思うようになります。
ある日、知人の勧めで遺言書を書くことになったGさん。内容を考えた際、まず初めに浮かんだのは、「Aさんに財産の全てをあげたい」というものでした。2人兄弟の場合、本来であればGさんの財産の半分はBさんが受け取ることになりますが、遺言書の内容により、Aさんにすべての財産を取得させることができます。
しかし先ほど述べたように、Bさんが「遺留分侵害額請求」をおこなえば、本来の相続分の半分をAさんに請求することができるのです。では、Gさんは予めどんな対策を取っておく必要があるでしょうか? 大きくは、以下2つの対策パターンがあります。
<対策1>
「遺留分侵害額請求」をBさんがおこなうことを見越して、遺言書を書いておく。
<対策2>
「遺留分侵害額の請求」がおこなわれるかは分からないが、その時に対応ができるように、相当額の現金を準備しておく。
(※遺留分侵害額の請求をされた場合、現金で支払う必要があるため)
これらの対策を事前にとっておくことで、争族を防ぐことができるでしょう。また、自分自身が“元気なうち”に遺言書を書くことで、自らの希望をしっかりと反映させることにもつながるでしょう。
「問題が生じてから初めて専門家に相談する」
相続に関して、そのような方が多いのは特徴かもしれません。しかし、事前に専門家へ相談していれば防げるトラブル、トラブルに発展しないための対策も多くあります。
相続対策をするときは、相続税法および相続法に精通した税理士や弁護士、司法書士に相談しましょう。オーケストライフには、士業グループLTRのメンバーが所属しています。ご質問、ご相談などがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
遺言書の種類とは?
ここ数年で増えたご相談の一つが、「『争族』対策のために備えておくことや、アドバイスはありますか?」という内容です。
『争族』とは字のごとく、遺産相続をめぐって親族が争うこと。これは、財産の<多い><少ない>に関係ありません。相続される財産は、貯金や不動産などプラスのものだけでなく、負債というマイナスの財産も含まれるからです。
相続が発生すると、残された相続人は遺産を分けるため、「遺産分割協議」をおこなう必要があります。しかし、その話し合いの際に揉めてしまい、裁判所による調停や審判、訴訟に発展してしまうケースがあります。
それを防ぐためにも、相続に関する意思を示す遺言書の存在は、とても大事です。遺言書があれば、「遺産分割協議」を経ることなく、遺言のとおりに遺産が分けられるので、争いを無くす効果があります。ではまず、遺言書の種類について確認しておきましょう。
◆自筆証書遺言
被相続人が手書きで作成した遺言書。決まった形式が定められており、これを満たさない場合、無効となる。証人は不要、署名・押印は本人のものでよい。遺言書の存在が知らされていない場合、家族に見つけてもらえない場合もある。また、後日、「本当に被相続人が書いたものなのか?」などで争われることもある。
◆公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう公正証書としての遺言書。遺言者が遺言書を書いたことを証明する証人が2人以上必要となる。また、本人と証人、公証人の署名・押印も必要。
原本は公証役場に保管し、正本は本人が保管する。公正証書遺言を作成する場合、財産の額に応じて費用が発生する。
このように遺言書には2種類ありますが、先ほども触れたように遺言書の形式や「本当に本人が書いた遺言書なのか?」などを巡って争われる可能性があるため、公証人の前で作成する公正証書遺言をお勧めします。
最低限の相続権利?「遺留分」について解説!
相続人には、遺言によっても奪うことができない「遺留分」があります。
遺留分とは、民法で保障されている一定割合の相続分のこと。一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった方)の財産から、法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことです。(被相続人の生前の贈与、もしくは遺贈によっても奪われることのないものです)
◆遺留分の割合について
相続人が直系尊属(父母または祖父母)のみの場合は3分の1、その他の場合は2分の1です。各相続人の遺留分は、民法で定められた相続分に遺留分の割合(2分の1又は3分の1)を乗じることにより求められます。
◆「遺留分侵害額の請求」とは?
もし、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合でも、贈与又は遺贈を受けた者に対し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
このように、せっかく遺言書を作成したものの、「遺留分を侵害された」ということで、結果的に争いに発展するケースも多くあります。では、具体的な事例で確認してみましょう。
具体的なケースを見てみよう!
Gさん(80代・男性)
Aさん(50代・男性/Gさんの長男)
Bさん(50代・男性/Gさんの次男)
2年前、妻に先立たれて体調を崩して入院したGさんは、それを機に長男であるAさん夫婦と同居することになりました。献身的に身の回りの世話をしてくれるAさん夫婦。それとは対照的に、Bさん夫婦は近くに住んでいるにも関わらず、全く顔を出すことはありません。それどころか、Bさんから連絡が来るときは、Gさんに金銭を要求するときのみ。そんな状態が2年近く続いたことで、GさんはBさんと縁を切りたいとさえ思うようになります。
ある日、知人の勧めで遺言書を書くことになったGさん。内容を考えた際、まず初めに浮かんだのは、「Aさんに財産の全てをあげたい」というものでした。2人兄弟の場合、本来であればGさんの財産の半分はBさんが受け取ることになりますが、遺言書の内容により、Aさんにすべての財産を取得させることができます。
しかし先ほど述べたように、Bさんが「遺留分侵害額請求」をおこなえば、本来の相続分の半分をAさんに請求することができるのです。では、Gさんは予めどんな対策を取っておく必要があるでしょうか? 大きくは、以下2つの対策パターンがあります。
<対策1>
「遺留分侵害額請求」をBさんがおこなうことを見越して、遺言書を書いておく。
<対策2>
「遺留分侵害額の請求」がおこなわれるかは分からないが、その時に対応ができるように、相当額の現金を準備しておく。
(※遺留分侵害額の請求をされた場合、現金で支払う必要があるため)
これらの対策を事前にとっておくことで、争族を防ぐことができるでしょう。また、自分自身が“元気なうち”に遺言書を書くことで、自らの希望をしっかりと反映させることにもつながるでしょう。
「問題が生じてから初めて専門家に相談する」
相続に関して、そのような方が多いのは特徴かもしれません。しかし、事前に専門家へ相談していれば防げるトラブル、トラブルに発展しないための対策も多くあります。
相続対策をするときは、相続税法および相続法に精通した税理士や弁護士、司法書士に相談しましょう。オーケストライフには、士業グループLTRのメンバーが所属しています。ご質問、ご相談などがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。