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耳より情報
2024年08月30日 [耳より情報]

不動産の相続で大事なポイントは?

オーケストライフでは、皆さまのお役に立てるくらしや住まいの耳より情報を定期的に発信していきます。今回は、LM総合法律事務所の代表パートナー弁護士竹中 一真が「不動産の相続で大事なポイントは?」と題してお話しします。



「あんなに仲がよかった兄弟が、なぜ絶縁状態に……?」遺産相続に関わった際、このような言葉を耳にすることがあります。誰しもが望まない「争族(遺産をめぐって相続人が争う)」。これを避けるには、どんな対策をすればよいのでしょうか? 今回のコラムでは<不動産と相続>をテーマに、神奈川県在住・50代男性からの相談をもとにお話しさせていただきます。

【相談者A】
先生、こんにちは。実は父が高齢になり、将来的に有料老人ホームへ入居する話が出ています。この先、父が亡くなった際に実家の土地・建物の相続について心得ておくべきことはありますか? ちなみに、母は3年前に他界しています。

【弁護士】

お父さま名義のご実家(土地・建物)があるということですね。不動産に関する遺産は、状況によりトラブルに発展する可能性もあるので、事前に情報を整理しておくのはオススメです。Aさんは何人兄弟ですか?


【相談者A】
都内に住む弟と2人兄弟です。

【弁護士】

原則として、親の遺産はご兄弟で均等に分割します。ご兄弟お2人ですので、相続分は2分の1ずつとなりますね。その中で土地や建物については預貯金と違い、単純に分割することが難しい財産です。


【相談者A】
私はいずれ「実家に住んでも良いな」と考えています。今の家も同じ横浜市内ですが、実家の周辺は自然が多くて住みやすいんですよ。私が将来的に実家(土地・建物)へ住み、そのまま相続した場合、遺産の分割はどのようになりますか?

【弁護士】

ご実家の土地・建物の他に現金や預貯金、株式などの有価証券があるかどうか、弟様も不動産の取得を希望するかどうかにより、考え方が変わってきます。
もし、弟様に土地・建物を取得したいという希望がなく、その他にも十分な財産がある場合には、Aさんが土地・建物を取得し、弟様は他の相続財産から相続分である2分の1の財産を取得すればいいということになります。


【相談者A】
なるほど〜。

【弁護士】

しかし、土地・建物以外の財産がない場合は厄介なことになります。Aさんが土地・建物を取得したとすれば、弟様に代償金を支払うことになります。これは「代償分割」による遺産分割です。
特定の相続人が土地・建物などの(現物の)財産を相続する代わりに、他の相続人に現金などを支払い分割する方法です。Aさんのケースですと、<ご実家の土地や建物を評価してもらい価格が決まり、Aさんが土地・建物を相続する代わりに、弟様が相続分に見合う現金を得る>という形です。


【相談者A】
ありがとうございます。理解できました。いずれにしても、私が実家に住みたいと思っていることなど、一度父や弟と話した方が良さそうですね。弟とはどちらかといえば仲が良い方ですが、こういったことで気まずくなるのは避けたいです。

【弁護士】

はい。予めお互いの意思を確認しておけば、弟様も安心だと思いますよ。ただ、代償分割をする上で大切なことは、土地・建物を取得する方に、代償金を支払う余裕があるかどうか、という点です。土地や建物の評価額が出たとしても、その半分を支払う財産が必要ですからね。残念ながら財産がない場合は、ご実家の土地・建物を共有として、お二人で使用方法を協議するか、または売却してしまい、その金額をご兄弟で分割する方法になります。


【相談者A】
私がその時点で実家に住んでいた場合でも、家を出なければいけなくなる可能性があるのですね。正直なところ父の財産(預貯金)については把握していないので、この辺りも含め父と弟と話す場を設けたいと思います。父はつい最近、「そろそろ遺言書を準備するか」なんて話していましたし。こういった話はつい先延ばししがちですが、良い機会かもしれません。

【弁護士】

そうですね。相続が発生すると、残された相続人は遺産を分けるため、「遺産分割協議」をおこなう必要があります。しかし、その話し合いの際に揉めてしまい、裁判所による調停や審判、訴訟に発展してしまうケースもあるんです。
それを防ぐためにも、相続に関する意思を示す遺言書の存在は、とても重要です。遺言書があれば、「遺産分割協議」を経ることなく、遺言のとおりに遺産が分けられるので、争いを無くす効果があります。ご兄弟の相続分に配慮し、代償金の準備をどうするかというところも視野に入れて、一度、お父さまや弟様とお話しできたら良いですね。


相続対策をするときは、相続税法および相続法に精通した税理士や弁護士、司法書士に相談しましょう。オーケストライフには、士業グループLTRのメンバーが所属しています。ご質問、ご相談などがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
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