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耳より情報
2023年10月30日 [耳より情報]

家賃の滞納が長期化した際の対応は?

オーケストライフでは、皆さまのお役に立てるくらしや住まいの耳より情報を定期的に発信していきます。今回は、LM総合法律事務所 ジュニアパートナー弁護士 松尾 雄司による「家賃の滞納が長期化した際の対応は?」をテーマとした記事をお届けします。


アパートやマンションを経営しているオーナーの方にとって、入居者の家賃滞納は切実な問題です。そこで今回は、アパート経営をおこなっている60代男性からの相談内容をもとに、対応方法などをお話させていただきます。

【相談者】先生、こんにちは。私は現在アパート経営をしているのですが、5ヶ月前から(賃貸契約を結んでいる)借主より、家賃を滞納されています。部屋にいることは分かっていて電話や手紙で何度も催促をしているのですが、一向に連絡が取れない状況で……。気がつけば、5ヶ月が過ぎていました。こういうケースの場合、強制的に退去してもらうことは可能なんでしょうか。

【弁護士】それは、大変でしたね。ではさっそく、強制退去や滞納している家賃の請求方法などについて、説明していきますね。まず「強制退去」について、ポイントとなる部分をお伝えします。
■1ヶ月分の家賃を滞納しても、すぐに退去させることはできない
■前提として賃貸借契約を解除する必要があり、契約解除のためには、借主と契約者との間で<信頼関係が破壊されている>と判断されることが必要となる
■一般的には、3ヶ月間以上の滞納が確認された場合、契約解除できると判断されるケースが多い


【相談者】なるほど。私の場合は、5ヶ月間も滞納されているので、強制退去ができるんですよね?

【弁護士】強制退去ができる可能性としては、高いでしょう。ただし、ここで重要なのは、こちらの対応の仕方です。たとえば勝手に部屋へ入室し、荷物を処分するなどの行為をした場合、不法侵入や器物破損などの罪に問われてしまいます。

【相談者】それは、まずいですね。その場の感情に流され、何も考えずに動かないよう気を付けなければ!

【弁護士】はい。この場合は一度、借主に対して「期限までに未払賃料を支払わなかったら、契約を解除しますよ」という解除予告通知を送りましょう。

【相談者】解除予告通知を送っても、借主からの連絡がなく、賃料の支払いもない場合、どのようになるのでしょうか?

【弁護士】支払いがない場合には、訴訟を起こすことになります。

【相談者】民事訴訟ということですね。では、手続きなどの流れを教えてください。

【弁護士】まずは裁判所に建物明渡請求と未払賃料請求の内容を記載した訴状を提出します。その後、相手方に訴状が届き裁判という流れです。

【相談者】多分これまでの感じだと、解除予告通知を送ったとしても、連絡はないかと……。裁判後の流れについても、教えていただけますか。

【弁護士】判決の前に相手方から退去の申し出があり、和解になる可能性もありますが、何も連絡がない場合には、裁判で判決が言い渡されます。

【相談者】ここで、ついに「判決」が言い渡されるんですね。

【弁護士】今回のケースでは、勝訴判決の可能性が高いので、その場合の手続きを説明します。
■明渡しについては、執行官に建物明渡しの強制執行の申立てをおこなう
■申立てをすることで、残置物を処分し部屋の明渡しをすることができる
■滞納分の支払いについては、差押えをすることになる

※相手の財産が分からないと差押えできないため、判決に基づき銀行口座の照会を行うなどして、財産の調査をすることもある

【相談者】全体的な流れなど、とても理解できました。ただ、今回のケースを改めて考えると、自分だけで対応するのは相当大変そうですね。「無事に支払いをしてもらえるかどうか……」。考えると不安になります。

【弁護士】そうですね。ご自身だけで対応をするのは、非常に難しいケースだと思いますので、私たちのような専門家に相談し、解決していくことをお勧めします。

【相談者】ありがとうございました。

オーケストライフには、士業グループLTRのメンバーが所属しています。ご質問、ご相談などがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
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